環境知能とは?

我々の研究室の名前は,環境知能学研究室です.

本学情報学研究科の他の研究室は,ロボティクスとか,視覚情報とか,インターネットとか,数理とか,それが難しいかどのように世の中の役に立つかどうかはともかく,それが何を指しているのかは大体わかるのではないでしょうか.一方,「環境知能」といわれても初耳で,それが何を指しているのかさっぱりわからないという方も多々いらっしゃるかと思います.

そこで,今回は,本研究室在籍のM2全員に

「環境知能ってなんだと思ってた?」

「なんで環境知能学研究室に入ったの?」

「今はどんな環境知能の研究してるの?」

を聞いてみました.

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石黒景亮

学部の研究室がロボットを扱う研究室だったのもあり、大学院では人とロボットのインタラクションに関して研究をしたいと思っていました。なので、初めは「環境知能」という名前からセンシングのみを軸とした研究室かと思っていて、研究室紹介を聞くまでは希望研究室の候補にしていませんでした。

しかし、研究室紹介でロボットを扱っていることを知り、とりあえず話を聞いてみようと思いました。ロボットを扱う研究室を色々と話を聞いて廻っているうちに研究室ごとの性格が見えてきて、最終的に環境知能学研究室に決めました。惹かれるポイントはいくつかあったのですが、決め手となったのは研究テーマの自由さです。具体的に取り組みたいテーマが決まっていなかったので、興味ある分野を広く扱っているところがよかったですし、過去の先輩方の研究テーマに強く興味を惹かれたというのもあります。

僕は、この研究室で環境知能の3つの軸「センシング」、「情報構造化」、「インタラクション」を含んだ環境知能らしい研究テーマに取り組んでいます。ロボット単体で考えるのではなくて、環境情報を利用して問題解決に取り組むスタンスがとても面白くて、やりがいのある研究だと思っています。

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岡田亜沙美

環境知能学研究室の名前から連想したのは、環境とつくので、生物や化学を情報工学的に解析するような研究室かと思いました。研究室案内を聞い て、すぐに勘違いは解けましたが。
環境知能学研究室を選んだ理由は、大学院に入る前に画像処理で文字認識の研究をしていたので、大学院でもその知識を活かせるような研究室に入 りたいと思っていたからです。研究室選びのときに、萩田先生とお話する機会があり、“人認識はスケルトンで表すことができて、これは文字認識 の細線化処理と似ている”、ということをきいて、この研究室に興味を持ちました。

今の研究内容は、人の軌跡を用いたグループ検出をしています。例えば、ショッピングモールにセンサを設置しグループ検出をすることで、家族連 れか、老人のみのグループか、障がい者の方のみのグループか等の情報がわかれば、人々により適切な商品の宣伝ができたり、安全な道へのナビ ゲーションが可能になります。環境知能とは、人が生活する環境をセンシングし、計測、認識、構造化することで環境に知能を持たせることです。 グループ検出は、人々の安心、安全、快適な生活を実現する環境知能に繋がります。

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田中勇記

入学当初,私は入学式で仲良くなった友人に誘われて,環境知能学研究室の説明会に参加しました.実は会場に行くまで研究室名や研究内容を全く聞いていなかったのです.ただ,座談会で萩田先生が話していた「ティンカーベルのような小型ロボットが携帯電話に変わってコミュニケーションする未来」が現実になれば面白いな,と強く興味を持ったのです.
私は以前から視覚障害者の「目の代わりとなる技術」の研究をしたいと考えていました.「その場所に何があるのか」「どう動けば安全なのか」普通の人なら見てわかることも目の見えない人には知り得ない情報です.これを教示できれば,安全に出歩くことが出来るようになるだろう,と考えました.
では「その場所」の情報を得るには何が必要か,個別の端末機器では限界がある,その場所にセンサを配置したら良いのでは!まさに環境知能の出番ではないか!このような考えに至ったのが研究室を決めた最大の要因です.

今は「ロボットナビゲーションのための周辺人物の移動予測モデル」に関する研究を行なっています.廊下に設置したセンサから人の動きを認識・予測することで安全で効率的なロボットナビゲーションを実現しようとしています.将来的には盲導犬のように,視覚障害者のナビゲーションに応用したいと考えています.

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橋塚和典

私が「環境知能学研究室」という言葉を初めて聞いたとき、言葉の並びから環境の知能化を目指す研究室だと連想しました。結果的に近い意味合いでしたが、実際には環境中の様々なセンサを利用した人の情報の計測、センサから得られた情報の構造化,ロボットやVR、MRなどを用いたサービスの提供や支援までの幅広い分野を扱う研究室でした。

この研究室を選んだ理由は、ICT時代の中で人の情報を様々なセンサから得ることで人を中心とした高価値なサービスをユーザに提供する事に重要な意味があることや,また幅広い分野での研究になるので、他の研究室以上に様々な知見が得られると考えたからです。

現在,私は拡張現実感(AR)によるルービックキューブの解法教示システムの研究を行っています。この研究はARが人の記憶に与える影響を調査することでサービスの提供や支援を行う際、ARが有用であることを示すことを目的としており,将来的に環境知能の枠組みにあてはめることで教育や介護などの幅広い分野での活躍が可能になると考えています。

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松山洋一

私は「環境知能学」という言葉を入学当初の全体説明会で聞いたため、よく勘違いされる「エコ」という印象は受けませんでした。ただ、や ろうとしていることが多いため、すぐにはどういう研究室なのかという理解が出来ませんでした。

興味を持ったのは、画像系の研究をしたいと思っていて、環境知能学研究室でそういうことをやっていると聞いたのが発端です。元々機械学習 をやっていて、それの応用分野として画像+機械学習の研究をしてみたいと考えていました。研究室見学で他の画像系の研究室を先に回ってい たのですが、私の思っている様な研究はされていませんでした。環境知能学研究室を訪れたのは最後でした。その時の説明会で、画像から人の 状態を学習し認識を行うことを研究していると聞き、「ここだ」と思い所属することとしました。

現在の研究は画像における人の姿勢推定の研究を行っています。環境知能が、人にサービスを提供するには人が現在何をしているか、などといった状態を知る必要があります。その1つとして、人の姿勢という情報を取得する方法の改良が私の研究です。

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森本佳志

おそらく多数の方が「環境」という言葉を聞いて、エコなどの言葉を思い浮かべるかと思います。しかし私はむしろ「知能」という言葉から、何か賢いことをやっている研究室なのだろう、と思っていたと記憶しています。

環境知能学研究室はおおざっぱにいうと、センシング,モデリング、インタラクションという3つの研究の柱を持っています。例として、ロボット と人の対話を考えてみます。まず、カメラなどを使って周囲の状況・環境を観測します(センシング)。次に、それらの観測情報にどのような意味 があるのかを考え(モデリング)、人との対話(インタラクション)に役立てます。こうすることでロボットだけでなく、その周りの環境ごと賢く なって、より素敵なコミュニケーションをしたい、というのが環境知能学のモチベーション(のはず)です。私の研究はその3本の柱の中のセンシ ングに分類される「人物の3次元形状復元」というものです。カメラで撮影した画像は2次元の画像を3次元にすることができます。2次元→3次 元とすることで情報量が増えるので、人物の行動認識や、新たな映像技術に役立てることができると期待されています。

その他にも、環境知能学研究室では、デプスセンサやレーザセンサを用いたセンシング、ロボットインタラクションなど幅広い分野の研究をおこなっ ています。どうぞよろしくお願いします。

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